不二の湯

あまりにも美味しそうな熟したトマトがあったので、
眠ったままもし死んでしまったら後悔するだろう、と思い
迷わずガブガブ食べました。茹でた薄塩味のゴーヤのスライスも。夜遅く。
トマトとゴーヤはなんておいしいんだ。


うちの周辺は「下町」というより、ちょっとさびれた住宅街。
人々が悪気なくせかせかしているところが、唯一下町っぽいところかな。

足の悪い祖母もずっと通い続けた最近所の銭湯が、つい先日経営者の病と高齢化の為店をたたんでしまった。

しかしこの周辺は意外と銭湯がひょっこり点在していて、
わたしはたまに思いつきでふらふらと開拓に出かける。

今回行ってみたところには、本当に富士山の壁画があった。
個人的には初めて生で見たので、その壮快な絵に見とれる。
渓谷が続くよ〜。岩山にも緑があるよ〜。そして遥か向こうには堂々たる富士が〜。

ピカピカに磨かれた縁側から望めるつぼ庭もあった。
なぜかコロポックルが居た。

ふろ場と脱衣所の敷居のガラスにも擦りガラスの繊細な絵があったり、
タイルの色合いや、その金色の縁取りや、丸い朱色天井．．．、
なんてすてきな建造物だろう。


無条件に、誰もが、ひとの目も気にせず、ハダカで大きな湯にそれぞれ浸かるところが銭湯の好きなところだ。

あと、考え事をしていても、湯や湯気や響く話し声や波うつ肉体があるから、どうやっても少し明るい方へ発散される。
家で悩むよりこれからは風呂屋で悩もうと思った。